2015年11月15日日曜日

2015年度『佛大社会学』投稿について

2015年度の『佛大社会学』投稿は、締め切りが12月20日です。
投稿を予定されている会員の方は、なるべく早めに事務局までご連絡ください。


事務局メール
busss101@gmail.com


もしくは学内の場合は山本研究室までお問い合わせください。

2015年9月15日火曜日

編集委員のエッセイ

2008年度から、もう7年間も編集委員を務めてしまった山本です。
『佛大社会学』は既に39号の歴史がある格調高い学術誌で、私の前に諸先輩方がその時々の編集を行ってこられましたが、近年の私が実務を担当するようになってからの所感をエッセイとして記したいと思います。


当機関誌はまず査読の無い、自治的研究会による出版物ですので、気軽に実験的な論文、あるいは研究の端緒にあたるような論考を投稿することが可能な学術誌です。


過去10年間において、主な投稿は博士課程大学院生および修了生によるものですが、しばしば教員会員や通信・通学の修士修了生による投稿もありました。


一般的にいって、社会学の学術誌は国内において、以下の種類があるものと思います。


(1) 広域の社会学会(日本社会学会や関西社会学会)による学術誌、例えば『社会学評論』
(2) 専門別あるいは連字符の社会学会機関誌、例えば『社会学史研究』
(3) 大学や研究所の紀要
(4) 大学内研究科が自主的に編集する雑誌


一般に知名度や投稿のハードルの高さも上から順番になるのではないかと思われますが、(4)は例外的に外部会員を認めて知名度の高い雑誌の場合(ソシオロジとか)もあります。


本学の場合、社会学部では『社会学部論集』『大学院紀要』そして『佛大社会学』があります。
 * 過去2-3年ほど論集と紀要は形式的に私が編集長で、雑誌関連は全体的に私がやってきたためそろそろバトンタッチしたいです、とても勉強になりました。


大学院に在籍の方、修了生の方にとっては後者二つが、まずもっとも身近で投稿しやすい媒体であり、もちろん研究職を志望する場合には学会誌にどんどん投稿しなければいけないのは明白でしょうが、実は学内の雑誌にも、それなりに良い部分も大いにあるのだ、と思う次第です。


一般的に、査読学会誌は知名度があがれば上がるほど投稿本数は増え、リジェクトされるケースも増加します。某機関誌では倍率数倍だといった話も良く耳にします。
そうしますと、どうしても論文の内容よりも先にまず体裁をきっちりと整え、「はじめに」で問題をきっちりとオリジナリティある観点から厳密に限定し、用語や概念に論理学的な一貫性を持たせて、「研究の方法」や註釈において、なぜ先行研究のこの部分は有名だが本論ではあまり使わなかった/使えなかったのかを、逐一エクスキューズしなければなりません。
その上で、内容が面白いと思われる論文を提出することが目標となってきます。
ここでは、ベンヤミンやジンメルの書いたようなエッセイが掲載可とされる余地はほとんどありません。


無論、こうした執筆方法論上の厳密さや統一性が求められ、ある程度客観的に判断できるメルクマールでもって、掲載可否が判断されることは仕方のないことであり、また見方によっては良い部分も多く含まれます。


しかし、数を重ねて投稿論文を書いていると、やや機械的な部分がどうしても生じてしまい、書く愉しみの一部が損なわれているなと感じたり、面白いと思う論点でも、問題の限定性からすると外さざるを得ないために展開できない部分がでてくることも、多くの人が経験することであると思います。


そもそも論でいえば、若干大きなテーマや論文一つでは展開しきれない要素、あるいは遊びの部分は、そうした論文を丁寧に書き集めて、将来一冊の本にする際に加筆修正して自説を作るべきだということも言え、それはとても尤もであります。
しかし研究を始めたばかりの博士課程において、それでも、ちょっぴり知的な大風呂敷を広げてみたいとか、難しいことは分かっていても「民主主義って何だ」というテーマを通奏低音として組み入れたいとか、それ以前に文章で遊んでみたいという欲望は押さえがたくあって、ちょっと書いてみたらやっぱり査読でその部分を止めろと言われてそのジレンマに悩む、ということも多くの若手研究者が感じることではないでしょうか。


その上で、本学における『大学院紀要』は、多くの場合修士学位論文を修正したものや、学会誌に投稿するほど自信をもってオリジナリティある観点にあふれた原稿ではないけれども、手堅く先行研究のある部分を整理しなおしたいといったような、いわば習作や足場を固める研究を投稿する場として使われているのかな、と近年の投稿をみていて感じました。


『大学院紀要』は明白に、研究科が出版する公式性の高い学術誌であり、指導教員を含む2名の査読が入りますので、どの大学でもそうした傾向にあるのではないでしょうか。


これに対して、『佛大社会学』は少なくとも私が編集委員となってからは、もう少し緩やかで査読形式を採らない(編集委員会からの注文が入る場合はあっても)、同人誌に近い位置づけの雑誌です。
私個人の話をすると、こちらに出したものは学会誌に投稿するほど書き方の体裁には気を使わずに、書きたい内容を展開したものが多いように思います。


もちろん、だからといって何でもアリではありませんし、各投稿者が自身の責任でもって、その都度自信のあるものを投稿してきた、その積み重ねが雑誌の格調高さであるわけです。




会員各位の投稿をお待ちしています。


山本奈生

本ホームページについて

本ページは「佛教大学社会学研究会」の公式ウェブサイトです。


 ここでは主として会員および佛教大学有縁の方に向けた情報を発信する予定ですが、もちろん当研究会は学問分野としての社会学に関心をもたれる方々とも広く交流したいと考えるものです。
 またウェブサイトという形式上、あまり生硬な文体や形式ばった話は似つかわしくありませんから、その時々のHP担当者が親しく、ざっくばらんに情報を発信できる場になるかと思います。


【佛教大学社会学研究会とは?】


 当研究会は1976年に設立され、佛教大学社会学研究科(学科再編前の時代においては社会学・社会福祉学研究科)に所属する大学院生および修了生、社会学部教員が主体となって自治的に運営されてきた研究会です。研究会会則は大学HPのこちらにあります。


 機関誌の『佛大社会学』は2015年現在39号までが公刊されており、2015年度末号で実に40号の節目を迎えます。歴史的には東大の『ソシオロゴス』が初刊行されたのは1977年ですから、大学研究科の自治組織としての当研究会および機関誌は、やや古めの部類に属するものであろうかと思います。機関誌投稿規程はこちらです。


 当研究会は、通信・通学を問わず原則的に現役の大学院生全員の参加をお願いし、可能であれば研究会の運営や研究報告、機関誌への投稿を奨励しています。
 研究会の主たる目的は、本学院生および修了生・教職員有志が互助的に、研究発表の場を維持することで、まずは特に院生/修了生の研究を奨励することにあります。
 もちろん、その次に修了生にとっての同窓会的な機能であったり、教職員の研究報告の場であったり、あるいは広く社会に社会学の研究成果を問いかける公的な場でありたいと考えております。


 研究会の主な活動は、年三回の学内研究会と、機関誌発行です。


○ 例年の研究会スケジュール
 第一回 → 5月頃: 大学院新入生の顔見せ報告
 第二回 → 10月~11月頃: 会員有志による報告、できれば通信課程の方や博士課程の方が報告できるよう呼びかけを行います。
 第三回 → 2月頃: 修士論文提出者による報告


 地理的・時間的都合から、第一回および第三回研究会では通学院生が原則全員報告していますが、もちろん通信院生の方も希望者がいればぜひ報告して欲しいと思います。


○ 機関誌投稿について
 投稿規程を参照の上、12月1日までに原稿データをお送りください。事前論題提出の必要はありません。また、機関誌には査読制度はありませんが、編集会議においてその年度における学内担当教員2名+院生2名の意見を受けて、修正の要請やアドバイスを行う場合があります。




 お問い合わせは、大束研究室(事務担当)、山本研究室(編集担当)、もしくは社会学部資料室まで。
 * 研究室までお電話をいただく場合、アポイントがない場合には不在である可能性が高いため、平日9時~17時の間に、社会学部資料室までお電話・郵送連絡をいただく方が確実です。
 
【住所・℡】
〒603-8301 京都市北区紫野北花ノ坊町96 社会学部資料室
 Tel : 075-491-2141(代表)
* 上記代表の番号から「社会学部資料室」を呼び出して下さい。




 2015年9月 上記文責 社会学部専任講師 研究会編集担当 山本奈生